
近年、キャッシュレス決済の普及により、QRコード決済の利用者数は急速に拡大しています。経済産業省の調査によると、QRコード決済額は2019年の1兆円から2024年には13.5兆円へと10倍以上に成長(※1)し、今やクレジットカードに次ぐ主要な決済手段となりました。
しかし、多くの店舗やEC事業者が「導入したいが何から始めればよいかわからない」「どのサービスを選べばよいか迷う」といった悩みを抱えています。
本記事では、QRコード決済の導入を成功させるために必要な費用、手順、サービス選択のポイントを解説します。
目次
QRコード決済を導入するメリット
ここでは、QRコード決済を導入することで得られる具体的なメリットを紹介します。
新規顧客の獲得につながる
QRコード決済の利用率は年々増加しており、2024年には全キャッシュレス決済の9.6%を占めるまでに成長(※1)しました。とくに、クレジットカードを持たない若年層にとって、スマートフォンひとつで気軽に決済できるQRコード決済は魅力的な選択肢です。
QRコード決済の利用率は30歳〜39歳の年齢層で最も高く、次いで20歳〜29歳となり(※2)、この世代をターゲットとする商品やサービスを扱う事業者にとっては必須の決済手段といえます。
また、中国・韓国などアジア圏からのインバウンド需要への対応も重要です。中国では83.5%、韓国では99.0%という高いキャッシュレス決済比率を誇り(※3)、QRコード決済が主流となっています。
ただし、QRコード決済だけではすべての顧客ニーズに対応できません。「商品を確認してから支払いたい」という慎重な購入者や、クレジットカード情報の入力に抵抗がある層も存在します。
そうした多様なニーズに応えるため、後払い決済などの選択肢も合わせて検討することが重要です。
出典※1:経済産業省「2024年のキャッシュレス決済比率を算出しました」(https://www.meti.go.jp/press/2024/03/20250331005/20250331005.html)
出典※2:総務省「情報通信白書(令和3年版)支払い・決済(クレジットカード、デビットカード)及びQRコード決済の利用状況」(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd111110.html)
出典※3:一般社団法人キャッシュレス推進協議会「2023年の世界主要国におけるキャッシュレス決済比率を算出しました」(https://paymentsjapan.or.jp/publications/20250904_intl-comp_ratio_2023/)
売上管理を効率化できる
QRコード決済を導入することで、売上管理の効率化が可能です。現金管理の手間が大幅に削減され、レジ締め作業の時間短縮が実現できます。
売上データがシステム上で自動管理されるため、日々の売上確認作業が簡素化されます。リアルタイムでの売上把握が可能になり、在庫管理や仕入れ計画の精度向上にも寄与します。
さらに、蓄積された決済データは重要な経営資源として活用できます。顧客の購買傾向の把握や、時間帯・曜日ごとの売上分析、人気商品の特定など、データドリブンな経営判断を支援する情報が得られるのです。
これらの分析結果を販売戦略や在庫戦略に反映させることで、売上拡大と利益率改善の両立が期待できます。
導入費用や手数料が安い
QRコード決済の最大の魅力のひとつが、ほかのキャッシュレス決済と比較して導入コストが低いことです。クレジットカード決済では専用端末の購入に数万円かかることがありますが、QRコード決済では多くのサービスで導入費用無料を実現しています。
決済手数料についても、クレジットカード決済の3%〜4%台と比較して、QRコード決済では1%台後半〜3%台前半に設定されている場合が多く、ランニングコストの削減につながります。
QRコード決済導入にかかる費用
QRコード決済の導入を検討する際、正確な費用感を把握することは経営判断の重要な要素です。主要なコストは初期費用、決済手数料、入金手数料の3つに分けられます。
初期費用
QRコード決済の初期費用は、選択する支払い方式によって大きく異なります。
【ユーザースキャン方式】
QRコードを印刷したPOPやステッカーを店頭に設置するだけで導入完了となるため、初期費用はほぼゼロです。
【ストアスキャン方式】
お客様のスマートフォンに表示されたQRコードを読み取るための機器が必要です。専用スキャナーやタブレット端末の購入費用として数万円〜十数万円の投資が必要になる場合があります。
ただし、POSレジとの連携による業務効率化や、金額入力ミスの防止などのメリットも得られます。
最近では、スマートフォンやタブレットを活用した低コストソリューションも増えており、初期費用を数万円以内に抑えることも可能です。また、マルチ決済サービスを利用すれば、一台の端末で複数のQRコード決済に対応できるため、コストパフォーマンスが向上します。
いずれの方式でも、安定したインターネット環境は必須です。Wi-Fi設備の整備費用や月額通信料もあわせて検討しておきましょう。
決済手数料
決済手数料は、QRコード決済利用時に発生するもっとも重要なランニングコストです。一般的に、売上金額の1%台後半~3%台前半の範囲で設定されています。
各サービスの手数料は競争環境の変化により定期的に見直されるため、導入検討時には最新情報の確認が不可欠です。
【代表的なサービスの手数料例】
- PayPay:1.60%〜2.178%
- 楽天ペイ:2.95%〜3.74%
- au PAY・d払い:2.6%〜2.86%
ただし、これらの数値は時期やプランによって変動する可能性があるため、最新情報は各サービスの公式サイトで確認することをおすすめします。また、単純に手数料率の低さだけでなく、顧客の利用頻度やサービスの利便性も含めた総合的な判断が必要です。
こちらの記事では、キャッシュレスの手数料について解説しています。手数料の相場や導入方法も取り上げているため、ぜひあわせてご覧ください。
入金手数料
QRコード決済の売上金は、各サービス事業者が定めた入金サイクルで指定口座に振り込まれます。その際に発生する振込手数料も、継続的なコストとして重要です。
多くのサービスでは、指定金融機関の利用や月1回の入金サイクルを選択することで振込手数料を無料にできます。一方、早期入金サービス(翌営業日入金など)を利用する場合は、別途手数料(売上金額の0.3%〜0.4%程度)が発生することが一般的です。
入金手数料は一回あたりの金額は小さくても、年間を通すと相当な額になります。とくに入金頻度の高い事業者や、キャッシュフロー改善のため早期入金を頻繁に利用する場合は、この手数料も含めた総コストで比較検討することが重要です。
QRコード決済の導入方法
QRコード決済を導入する方法は、大きく分けて「個別契約」と「マルチ決済サービス利用」の2つのアプローチがあります。それぞれの特徴を理解し、自社の事業規模や運営体制に適した方法を選択することが大切です。
QRコード決済事業者と個別に契約する
個別契約は、導入したいQRコード決済ブランドの公式サイトから直接申し込む方法です。特定のサービスに特化した導入を検討している場合や、コストを最小限に抑えたい場合に適しています。
【メリット】
- 条件によっては決済手数料を抑えられる可能性がある
- 特定のブランドの利用者が多い地域や業態の場合、そのサービスに集中することで効率的な顧客獲得が可能
【デメリット】
- 複数のブランドを導入したい場合は、サービスごとに個別の契約手続きが必要になる
- 契約書の管理、入金管理、レポート確認などの事務作業が煩雑になる
- 初期費用を抑える個別契約の場合の多くはユーザースキャン方式での提供となるため、店舗オペレーションでの工夫が必要になる場合がある
マルチ決済サービスを利用する
マルチ決済サービスは、決済代行会社が店舗と複数の決済サービス事業者との仲介役となり、手続きやシステム管理を代行するサービスです。
【メリット】
- 複数のQRコード決済を含む多様なキャッシュレス決済を、一度の申し込みで導入・管理できる
- 契約書・窓口・管理システムですべての決済手段を統括できる
- 異なる決済サービスの売上データが統一フォーマットで提供されるため、経理処理や売上分析が格段に楽になる
【デメリット】
- 個別契約と比較して決済手数料が高め
ただし、管理コストの削減や機会損失の防止効果を考慮すると、総合的な費用対効果は高い場合が多いです。
代表的なQRコード決済サービスの比較
QRコード決済サービス選択の際は、各サービスの特徴と自社の顧客層との適合性を慎重に評価することが重要です。
以下、主要サービスの2024年10月時点の情報をもとに比較します。なお、手数料や条件は変動する可能性があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
PayPay
PayPayは国内最大級のユーザー数を誇り、7,000万人以上の登録ユーザーを抱えるQRコード決済のトップランナーです。圧倒的な認知度と利用者数により、あらゆる業種での集客効果が期待できます。
【決済手数料】
- ライトプラン:1.60%(税別)~
※ライトプランには月額1,980円(税別)の費用が発生
PayPayの強みは、豊富なキャンペーンと高いポイント還元率です。大規模なキャッシュバックキャンペーンが頻繁に実施されるため、ユーザーの購買意欲向上と新規顧客獲得が期待できます。
また、オフライン決済機能により、インターネット環境が不安定な場所でも利用可能な点はほかサービスにない特徴です。
楽天ペイ
楽天ペイは、楽天経済圏の強力な顧客基盤を活用できることが最大の特徴です。楽天会員数は1億を超えており、楽天ポイントとの連携により高い顧客ロイヤリティを実現しています。
【決済手数料】
- 2.95%(税別)~
楽天銀行を入金口座に指定することで入金手数料が無料になり、翌日入金サービスも利用できます。キャッシュフローを重視する事業者には魅力的な条件といえるでしょう。
楽天ペイ独自の「セルフ払い」機能は、ユーザーがアプリ内で店舗を選択し、金額を入力して決済を完了させる方式です。店舗側の手間を最小限に抑えながら、スムーズな決済体験を提供できます。
au PAY
au PAYは、KDDIが提供するQRコード決済サービスで、auユーザー以外でも利用可能です。Pontaポイントとの連携が強みで、au PAYとPontaポイント合わせて1億5,000万人を超える会員基盤を誇ります。
【決済手数料】
2.6%(税別)※入金手数料は無料
au PAYカードからau PAY残高にチャージして支払いを行うと、Pontaポイントがダブルで付与される仕組みは、ポイント志向の高いユーザーにとって魅力的です。
国際的な決済サービスであるAlipayやWeChat Payとの連携により、インバウンド需要への対応も可能です。訪日外国人観光客の多い地域や業態では、この機能が大きな差別化要因となるでしょう。
また、楽天ペイ加盟店でも利用できる相互利用が可能なため、対応店舗数の多さという点でもメリットがあります。
d払い
d払いは、NTTドコモが提供するQRコード決済サービスです。ドコモユーザー以外でも利用できますが、ドコモユーザーにはとくに便利な機能が提供されています。
【決済手数料】2.6%(税別)
※期間限定キャンペーンとして最大6か月間の手数料無料施策が実施されることもあります。
ドコモユーザーは、毎月の携帯料金と合算して支払いができる「電話料金合算払い」が利用可能です。クレジットカードを持たない若年層でも手軽に利用できるため、幅広い顧客層にアプローチできます。
dポイントとの連携により、利用金額に応じてポイントが貯まり、dポイントカードの提示でポイントの二重取りも可能です。ドコモの契約者数は約8,000万人に上るため、この顧客基盤を活用した集客効果が期待できます。
なお、d払いはメルペイと共通のQRコードで利用できるため、ひとつのQRコード設置で両サービスに対応できる利便性もあります。
QRコード決済の支払い方式
QRコード決済には、技術的な仕組みの違いによる複数の支払い方式があります。店舗の運営体制や顧客層に応じて最適な方式を選択することで、より効果的な導入が可能になります。
【店頭】ストアスキャン方式
ストアスキャン方式(消費者提示型)は、お客様がスマートフォンに表示したQRコードを店舗側がスキャナーなどで読み取る方式です。お客様の操作負担が最小限で済むため、スピーディーな会計が実現できます。
この方式の最大のメリットは、決済精度の高さです。店舗側で金額を入力するため、お客様による入力ミスが発生しません。また、金額確認のプロセスが明確なため、トラブルの発生リスクも低くなります。
一方で、専用の読み取り端末やPOSレジとの連携システムが必要になるため、初期投資が必要です。ただし、売上データの自動管理や在庫連携などの付加価値も得られるため、中長期的な費用対効果は高いといえるでしょう。
【店頭】ユーザースキャン方式
ユーザースキャン方式(店舗提示型)は、店舗が提示したQRコードをお客様がスマートフォンで読み取り、金額を入力して決済する方式です。店舗側の負担を最小限に抑えられることが最大の特徴です。
導入コストの低さは圧倒的なメリットです。QRコードを印刷したPOPやステッカーを設置するだけで導入完了となるため、初期費用をほぼゼロに抑えられます。複数店舗への展開や、試験的な導入を検討している場合には最適な選択肢です。
ただし、お客様による金額入力が必要なため、入力ミスのリスクがあります。また、QRコードのすり替えによる不正利用の可能性もゼロではありません。これらのリスクを最小限に抑えるため、金額確認の徹底やQRコードの定期的なチェックなど、適切な運用ルールの策定が重要です。
小規模店舗や個人事業主には適していますが、大規模事業者の場合はオペレーションの効率性と安全性を総合的に評価して選択することをおすすめします。
【EC】パソコンでの支払い
ECサイトでのQRコード決済は、デスクトップでの購入体験を大きく改善する可能性を秘めています。パソコン画面に表示されたQRコードをスマートフォンアプリで読み取ることで、複雑なクレジットカード情報の入力を省略できます。
この方式は、とくにスマートフォンでの情報入力に慣れているユーザーにとって非常に便利です。クレジットカード情報をオンラインで入力することに抵抗がある顧客層や、より簡単な決済方法を求める顧客のニーズに応えることができます。
ただし、一部のQRコード決済サービスはECサイトに対応していない場合があるため、事前の確認が必要です。
また、ECサイトでの決済手段の多様化は、カゴ落ち率の改善に大きく寄与しますが、さらに効果的なのは「商品を確認してから支払いたい」というニーズに応える後払い決済の導入です。
スコア後払いでは、コンビニやアプリでお支払い対応が可能です。最短5営業日で導入でき、初期費用も無料となります。お困りの際にはぜひお問い合わせください。
QRコード決済の決済タイミングと仕組み
QRコード決済の支払いタイミングは、ユーザーの選択により「前払い」「即時払い」「後払い」の3つのパターンに分けられます。それぞれの仕組みを理解することで、より多様な顧客ニーズに対応した決済方法を選定できます。
前払い(プリペイド)
前払い方式は、ユーザーが事前に決済アプリにチャージし、その残高を使って支払いを行うタイプです。利用者にとっては予算管理がしやすく、使いすぎを防げるというメリットがあります。
店舗側にとっては、確実に残高がある状態での決済となるため、支払い不能のリスクが低いというメリットがあります。ただし、ユーザーがチャージを忘れて残高不足になる可能性もあるため、そうした場合の代替決済手段の案内も準備しておくとよいでしょう。
即時払い(リアルタイムペイ)
即時払い方式は、決済アプリに紐づけた銀行口座から、決済のタイミングでリアルタイムに支払い金額が引き落とされる仕組みです。
ユーザーにとっては、事前チャージの手間が不要で、銀行口座の残高範囲内で自由に支払いができる利便性があります。口座残高を超える支払いはできないため、自然な支出抑制効果も期待できます。
注意点として、口座残高不足の場合は決済ができないため、残高確認が必要になります。店舗側では、そうした場合のスムーズな対応方法を事前に検討しておくことが大切です。
後払い(ポストペイ)
後払い方式は、決済アプリに登録したクレジットカードを通じて支払い、後日クレジットカードの請求と一緒に支払う仕組みです。事前チャージや口座残高の確認が不要で、クレジットカードの利用限度額内で支払いが行えます。
クレジットカードのポイント還元とQRコード決済のポイント還元を二重で受けられる場合があり、ポイント志向の高いユーザーにはとくに魅力的です。また、分割払いやリボ払いなど、クレジットカードの支払い機能をそのまま活用できる利便性もあります。
まとめ
QRコード決済は、急速に普及が進むキャッシュレス決済手段として、店舗やECサイトの集客力向上と業務効率化に大きく寄与します。導入にあたっては、サービスの選定や方式を工夫することで、コストを抑えながら効果的に活用することが可能です。
一方で、QRコード決済だけでは十分に対応できない顧客ニーズも存在します。たとえば「商品を確認してから支払いたい」「クレジットカード情報を入力したくない」といった顧客層に対しては、後払い決済サービスが有効な選択肢となります。
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